朝食を食べる人と食べない人。ダイエットに成功するのはどっち?

産業医として年間5万人の健康指導を指導する総合内科専門医の益江毅医師は、著書『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』の中で「朝食を食べる人と食べない人、どちらがダイエットに成功するか」に明言。益江医師自身が実際に行った介入試験の結果を紹介しつつ、長年様々な説が議論されているこの「やせるのはどっち?」に答えを導き出した。その結果とは?(文・監修/総合内科専門医 益江毅)

「朝食を抜いてカロリーを減らす」
は果たして正解か?

 私自身も20年前はカロリー制限を中心とした食事指導をしていました。ところが、カロリー制限を指導しても効果が表れない、あるいはすぐにリバウンドしてしまう人の中には、カロリーを抑えるためにとあえて朝食を抜いている人が少なからずいたのです。

 私は「朝食を抜いてカロリーを減らすことが、逆にダイエットを妨げているのではないか」との考えを強く持つようになりました。そこで、2007年にある介入試験を行いました。

 定期検診でBMIが25以上だった肥満の人のうち、日常的に朝食を抜いている11人(平均年齢36.8歳)を対象に、生活習慣病の方に用いる1食170キロカロリーのフォーラ食を朝食として2カ月間摂取してもらったのです。毎日必ず朝食をとる以外には、何の食事指導、運動指導も行いませんでした。その結果は次のようになりました。

● 2カ月後の数値(平均値)
体重(キロ)/62.1キロから60.8キロに減少
BMI(kg/m2)/29.8から29.4に減少
血圧(mmHg)/収縮期血圧128.0から124.2に減少/拡張期血圧78.4から71.2に減少
LDLコレステロール(mg/dL)/158.1から138.9に減少
肝機能AST、ALT、γGTPが低下

動脈硬化の危険因子の指標PAI-1、ホモシステインが改善

 1日の摂取カロリーは朝食によってむしろプラスされているので、従来の「エネルギーバランスモデル」の考え方では、摂取エネルギーが増加した分、2カ月間で平均1.5キロ程度の体重が増加するはずです。

 しかし、2カ月間と短期間ではあるものの、逆に平均で1.3キロ減量できたのです。摂取エネルギーとは関係なく、ただ朝食をとるだけでダイエットに成功し、さらにはメタボにかかわる検査データ数値も改善されました

 この研究から、私は「やはり摂取カロリーと体重の増減は必ずしも相関しない。ダイエットを成功させる方法はカロリー制限だけではない」と、確信したのです。