菅前首相が明かす、ワクチン接種1日100万回をぶち上げた根拠と縦割り打破インタビューに応じる菅義偉前首相 Photo by Masato Kato

菅義偉前首相の独占インタビューを全4回にわたってお届けする。今回のテーマは、新型コロナウイルス対策だ。当初は遅れが指摘された日本のワクチン接種。その遅れを取り戻そうと、1日当たりの接種回数を当時の約5倍となる100万回にすると宣言し、菅前首相は周囲を驚かせた。その宣言の裏にあった、100万回という数字の根拠とは何か。そして、実現に当たって縦割り行政をどのようにぶち壊したのかを聞いた。(イトモス研究所所長 小倉健一)

2月10日の「岸田・菅会談」では
何が話された?

――菅政権時代の新型コロナウイルス対策について聞かせてください。岸田文雄首相は昨年9月の自民党総裁選への出馬に際し、当時の菅義偉政権について痛烈に批判。コロナ対策について菅前首相の発信力と説明力をやり玉に挙げました。ところが、岸田政権下で変異ウイルス「オミクロン」が爆発的に拡大。その反省もあってか、2月10日、岸田首相が、菅さんに呼びかける形で会談が行われました。そこでは何を話したのですか。

 新型コロナ対策や外交の話をしました。総理経験者として、これまでのワクチン接種の経緯や、日米首脳会談などの外交についてお話をさせていただきました。

――岸田政権と菅政権、行政は同じ権限を持ち、同じリソースでワクチン接種を進めたはずです。そして岸田政権は、菅政権下で実施した2回目までの接種の経験を引き継いだはず。しかし、岸田政権では3回目の接種は遅れが指摘されています。どうしてこんな状況になってしまったのでしょうか。