画像:日産と三井物産の公式サイト画像:日産と三井物産の公式サイト

2023年は天下りスキャンダルが発覚した空港施設で、2025年は大赤字に陥った日産自動車で1人の個人株主が経営陣を追及し話題となった。その「闘う個人株主」の平野さんにザイ編集部が直撃。令和でも続く「シャンシャン総会」*の実態や、今年の日産自動車・三井物産の株主総会で予定している追及内容について聞いた。(鈴木豪、ダイヤモンド・ザイ編集部)

*会社側の議案に対し異議が出ず、形式的に短時間で終了する株主総会のこと。

平野さん
個人投資家。東京都在住の60代で投資歴は約30年。保有銘柄は約50銘柄で1億円以上を運用中。株主総会への出席は100回以上。多くの総会で質問や株主提案、動議を発議している。昨年は日産自動車の総会での第5号議案の株主提案を行い、会社側を追及して話題となった。今年は5月までで7社の株主総会において質問なり発言をしている。

三井物産の取締役人事案に
ついて追及する予定

――いよいよ株主総会のシーズンです。平野さんは天下り問題のスキャンダルが勃発した空港施設や、大赤字で工場閉鎖に追い込まれた日産の総会などで質問や動議を連発して経営陣を追及していました。今年の総会でも経営陣に対して追及をする予定でしょうか。

平野 もちろん、予定しています。具体的には、三井物産の総会です(2026年6月17日予定)。

 今年の同社の総会で諮る取締役候補には、シンガポールの現職の国会議員が含まれています。しかも元副議長という大物です。これでは相手国の利益になるような仕事がされたり、逆にクリーンなビジネスでも議員の口利きによる利益誘導が疑われたりするリスクもあるのでは、と強く疑問を抱いています。

 だから、この取締役候補の独立性や適格性について経営陣を直接追及するつもりです。そして、取締役候補を一括で賛否を問うのではなく、「この候補者だけの採決を取りましょう」と動議を出すことも考えています。

平野さんは、三井物産で外国の現職の国会議員が取締役候補となっていることを疑問視。「疑問に思ったことは堂々と株主総会で質問します」と宣言。(写真は三井物産の株主総会招集通知より)平野さんは、三井物産で外国の現職の国会議員が取締役候補となっていることを疑問視。「疑問に思ったことは堂々と株主総会で質問します」と宣言。(写真は三井物産の株主総会招集通知より)
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――三井物産以外では?

平野 日産自動車では2025年に引き続き、株主提案をする予定です。議長(イヴァン・エスピノーサ社長)の不信任や定款の一部変更です。

日産の総会で登記の違法状態を
何度も指摘して改善させた

――鋭い切り込みですね。そもそも、平野さんがそこまでして総会に足を運び、経営陣への質問や追及を続けるのはなぜですか?

平野 「世間の目」として、経営者を監視するためです。株式投資で一番怖いのは、事前に予測できない「不祥事」によって、ある日突然、株価が下落することです。不祥事は予測不能なのに「投資は自己責任で」と言われますからね。総会で株主が鋭い質問をして、「私たちはおかしいと思っているぞ」とプレッシャーをかけることで、経営者は「変なことをしたら株主に追及される」と意識するようになります。これが不正のストッパーになるんです。

 例えば、私が過去に日産の総会で、役員が変わった時の登記をサボっている(未登記)、つまり違法状態にあることを問題視して、何年にもわたって指摘し続けました。最近になってようやく違法状態が直りました。言わなきゃ直らないんです。

令和になっても続く
「シャンシャン総会」の実態

――でも、今は「株主重視経営」ともいわれます。昔ながらの株主を蔑ろにした「シャンシャン総会(会社側の台本通りに進む総会)」は減ったといわれていますが、実態はいかがでしょう。