午前の6割相当が午後も受験する1日

 2月1日は、東京と神奈川の入試解禁日である。それだけに、この日の午前に何人が実際に受験に臨んだかは、その年の中学受験人気を計る上でのバロメーターとなる。

 1日午前に1回だけ入試を行う東京の学校から、まず見てみよう。22年受験者数合計(21年比・20年比の増減)は、男子校(開成、麻布、武蔵、駒場東邦、早稲田大学高等学院)が3557人(+58人・▲188人)、女子校(桜蔭、女子学院、雙葉、立教女学院)が1866人(▲35人・▲135人)、共学校(早稲田実業、創価)が768人(▲37人・▲130人)となっている。創価を除くと、いずれも偏差値60以上の難関・上位校だが、全体的に20年水準までは回復していない様子がうかがえる。

 これらの学校の実倍率は、桜蔭1.89倍と駒場東邦1.9倍以外はいずれも2倍を超えており、早稲田実業(男子3.58倍、女子3.92倍)、武蔵3.51倍や早稲田大学高等学院3.29倍のように3倍超の入試もある。

 図1は、18年から22年の5年間について、1日午前と午後の私立中学受験者数の推移を示している。午前も年々増加しているものの、午後の勢いにはかなわない。1日午後は、18年の1万4906人に対して、22年は+41.5%の2万1085人と大きく伸ばしている。

 1日午前で、21年比50人以上受験生を増やした学校[入試名](22年の受験者数・実倍率)をまず見てみよう。111人増が実践女子学園[第1回午前](204人・3.24倍)、105人増が広尾学園小石川[第1回本科・ISG](294人・7.17倍)、85人増が獨協[第1回](329人・3.29倍)、80人増が中央大学附属[第1回](492人・3.35倍)、72人増が安田学園[先進特待第1回](532人・2.43倍)、59人増が富士見[第1回](322人・2.56倍)、50人増が武蔵(624人・3.51倍)となっている。

 ランクごとに1日午前を見ると、男子校は偏差値65以上のAランクが年々受験者数を増やしている。偏差値55以上のA~Cランクで男子校受験生全体の4分の3を占めており、難関・上位校に偏る傾向は変わらない。一方、女子校はA~Cランクで全体の半分ほどと、各ランクに受験生は散らばっている。22年はEランク(偏差値45~49)が減少した分、Dランク(同50~54)が増えている。共学校は年々受験者数が増加しており、中でもDランクが4300人を超えている点が注目される。18年比で7割強の増加で、最も人気のランクとなっている。

 午前を100とすると、午後は18年49、19年53、20年57、21年59、22年62となっており、いまでは午前の10人に6人強相当は午後も受験していることが分かる。では、どの午後入試が好調なのか。21年比で50人以上受験生を増やした学校[入試名](22年の受験者数・実倍率)を同様に見ていくと、その勢いが感じられるだろう。

 157人増が東京都市大学付属[第1回II類](634人・1.51倍)、123人増が獨協[第2回〈午後〉](685人・3.03倍)、111人増が実践女子学園[第2回午後](422人・3.87倍)、100人増が三輪田学園[第1回午後](334人・1.76倍)で、100人以上増やした学校はいずれも男女別学校である。

 89人増が昭和女子大学附属昭和[D](238人・4.58倍)と三田国際学園[第2回ISC](221人・2.05倍)、59人増が立正大学付属立正[第1回午後](154人・1.75倍)、57人増が中村[特待生2科・4科1日](64人・2.13倍)、54人増が日本工業大学駒場[第2回](176人・2.55倍)、52人増が京華[第1回特別選抜午後](221人・4.6倍)と、ここでは共学校も顔を出した。

 22年が新規募集だった千代田国際[教科型第2回](59人・1.2倍)、22年に新しく設けられた山脇学園[英語AL](79人・6.58倍)と、千代田区と港区にある都心の学校の新たな入試が評判を呼んでいる。