埼玉の受験者数は前年比18%増に
首都圏1都3県では、まん延防止等重点措置が適用されて実施された2022年中学入試。昨年内に行われた模試参加者数の動向から、21年に比べて大きく志願者数を増やすことは確実視されていた。実際はどうだったのか、2月21日時点で森上教育研究所が集計したデータに基づき、その状況を総括していきたい。
まず大前提として、2001年に首都圏1都3県の小6人口は、01年に30万人を割り、16年に29万人を割るなど、減少が続いていたことが挙げられる。加えて21年には、東京都以外の3県では小6人口が減少していた。
つまり、受験比率が高まらない限り、受験者数は増えない。22年に最も顕著だったのが、埼玉での受験者数の伸びである。栄東の第1回入試志願者数が7000人を超え、大宮開成も史上最高の受験生を集めたように、どの学校も絶好調だった。1月10日から12日までの3日間の受験者数合計では、21年比+18%の3万0981人となっている。18年が2万2045人だったことを考えると、埼玉入試の受験者の増え方に驚かされる。
昨年もNHKはニュース番組で、首都圏中学受験の皮切りとなる栄東からの中継を一日中流し、その徹底した新型コロナ感染対策を紹介していたことも大きいが、その入試問題がバランスの取れた内容で、塾にとっても受験生にとっても“想定内”であることが、最後の模試的な位置付けでの人気を呼んだ要因とみられる。
さて、少子化が進む埼玉で、なぜかくも大きく伸びたのか。緊急事態宣言下だった21年は東京都内の受験者が荒川を越えることをためらったものの、22年は東京から多くの受験生が埼玉に押し寄せた。前年比の増加分はほぼ東京からの受験生によるものと考えていい。埼玉の実倍率(受験者数と合格者数の比)は、2倍を切る1倍台後半の入試が多く、いち早く合格を得たいという気持ちが受験生の後押しをした。
そのことは、1月20日から始まる千葉の動向と比べるとより分かりやすい。実倍率2~3倍台の入試が多いため、埼玉と比べ合格は得にくい。それでも、22日までの3日間合計で前年比+3%と増加している。こちらも東京からの受験生が江戸川を渡ったことが大きい。渋谷教育学園幕張の復調がその象徴であり、都立中高一貫校志願者が適性検査型入試を受けるため23区東部から千葉に向かう動きも見られた。
このように、1月の埼玉と千葉の受験者増には、東京からの受験者の回復が大きいものとみられる。では、2月1日から始まる東京と神奈川の入試はどうだったのか。次ページで見ていこう。