東京「女子御三家」の入試算数で問われたこと【中学受験2022】東京女子御三家の中で、2022年入試で唯一前年比の志願者数を増やした女子学院(東京・千代田区)

新型コロナ禍2回目となる首都圏の中学入試もほぼ終了した。中位校を中心に、これまでで最大規模の受験生が臨んだものの、安全志向もあってか、難関・上位校の志願状況は全体的に緩和傾向だった。2021年に続き、東京男女御三家+駒場東邦の算数問題を、入試が行われた1日夕方からライブ配信しながら即興で解いた中から、小5生でも取り組めそうな22年入試の特徴的な問題を、解説も交えながら見ていきたい。(ダイヤモンド社教育情報)

各校の特徴がはっきり示される算数問題

 毎年2月1日、東京では男女御三家など難関校の入試が一斉に行われる。2022年入試は中位校を中心に受験者総数がかなり増加したとみられるものの、こと難関校に関しては、20年や21年より出願者を減らす学校が多かった。 

 難関校の22年出願者数(21年・20年比の増減人数)を見ると、麻布(+53・▲82)、開成(▲37・▲60)、駒場東邦(▲80・▲40)、武蔵(+56・+39)、桜蔭(▲24・+2)、女子学院(+46人・▲29)、雙葉(▲4人・▲38)だった。

 主に小5生の親子を対象に、この日出題されたばかりの算数問題をその場で解いてみる「わが子が伸びる親の技〈スキル〉研究会」恒例のイベントが行われた。21年に続き、今年もZoom開催となった。対象となったのは、東京男子御三家(開成、麻布、武蔵)+駒場東邦、東京女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)の7校である。各校の算数問題は、大問ごとに切り分けてダイヤモンド社教育情報Twitterで2月1日に公開してあるので、ご関心のある方はそちらもご参照いただきたい。

 全体的な出題傾向自体はそれほど大きくは変わっていないが、21年入試問題を解説した以前の連載記事(前編後編)も、併せてお読みいただきたい。今回は東京女子御三家の問題を見ていき、次回は東京男子御三家+駒場東邦について取り上げたい。

 中学受験生、とりわけ難関校の受験生にとって、最も大切なことは2つある。それは、丁寧に問題文を読み、場合分けをすること。慎重に解いて、計算間違いをしないこと。この点を心掛けながら、東京女子御三家の算数問題を一緒に見ていこう。司会役は今回も難関中学志願者のコースの講師を長年務めてきた中学受験界の第一人者である金廣志先生。金先生による22年の出題傾向の解説に耳を傾けてみよう。 

東京「女子御三家」の入試算数で問われたこと【中学受験2022】金廣志(キム・カンジ)
悠遊塾主宰。算数オリンピック大会顧問。中学受験塾「武久鴻志会」、四谷大塚市ヶ谷校舎では桜蔭や女子学院コースも指導。4教科を1人で教えるカリスマ講師。

 一口に東京女子御三家といっても、実際の入試問題は学校によって非常に異なります。まずは雙葉から見ていきましょう。雙葉はそんなに問題数が多いわけではありません。割と基本的な問題が前半にあり、後半に規則性を中心とした問題が出て、これが合否を分ける。とてつもない難問は出ません。慎重に考えていけば解ける問題が多いと思います。

 大問1(4)はみんな解かなきゃだめだよね。大問2の時計の問題は非常に面白いですね。大問3には奇数を並べた規則性の問題が出ています。では、春日先生、こちらをよろしくお願いします。