「世の中をあっと言わせる企画を作りたい」「自分の夢を仕事で実現させたい」「ユーザーの気持ちがわからない」「企画書が通らない」「プロジェクトを成功させる方法が知りたい」など商品開発や新規事業を生み出す上でのあらゆる悩みを解決!
本連載の著者は「千に三つ」や「一生涯一ヒット」と言われる食品(飲料)業界において「氷結」「スプリングバレーブルワリー」「淡麗」「キリンフリー」など数々のヒット商品を生み出してきた和田徹氏。実は入社から12年間、ヒット商品ゼロだったという著者なぜ、失敗だらけだった人が、ヒット商品を量産できるようになったのか? 売れ続ける商品づくりの全技法を明かしたのが『商品はつくるな 市場をつくれ』(3月15日刊行)という書籍です。刊行を記念し、本書の一部を特別に公開します。

「いいアイディアが思い浮かばない……」という人が今すぐするべき、たった一つのことPhoto: Adobe Stock

アウトプット量はインプット量に比例する

何もないところからアイディアは出てきません。インプットこそがアイディアの源なのです。

空っぽの頭の中から、何かが出てくることはありません。

持つべき情報量は、より多く、より多岐に。

これが理想です。「質」も重要ですが、まずは「量」。

アウトプットを生み出したければ、ひたすらインプットに励むのです。

その対象は多岐にわたります。

インターネットや書籍、雑誌、新聞、映画やテレビ、動画配信などは選り好みせずに「雑食」「雑読」「雑視聴」でいきましょう。

たとえば、美容院やクリニックの待ち時間。そこに用意されている雑誌やパンフレットなどは、普段、読まないようなジャンルに手を伸ばします。健康雑誌、女性誌や男性誌、ファッション誌、タウン誌などは、知らないことの宝庫です。

テレビは好きな番組だけではなく、BS、CSを含めたザッピング視聴を。レコーダーにキーワードを登録して録りため、時間があるときにまとめ見もいいですね。

特に注目しているのは、EテレやNHK-BS。中でもマイナーなテーマを掘り下げている番組。アイディアの種になりそうな掘り出しものが転がっている可能性が高いです。

ほかにも、普段は頻繁に触れられない歴史、文学、美術、音楽などを扱う番組も要マーク。ずっと伝承されている伝統や文化、古典は、いわばロングセラー。時代を超えて存在しているものには、いまに活かせるアイディアのヒントも詰まっているはずです。

一見すると仕事に直結しない、宇宙や生命科学、最先端テクノロジーなどのサイエンスものは、視野を広げ、異なる観点からの気づきを得るのに役立ちます。

また、ネットショッピングでは、目当てのものだけでなく、関連商品や類似商品をくまなくリサーチします。リンクをたどって、自分で検索しないものまで細かくチェックしてみます。ネットはセレンディピティにあふれています。専門外・興味外などと思わず、好奇心を旺盛にどんどん探検してみましょう。

インプットで大事な心がけ

商品づくりが目的のインプットだと「何が流行っているのか」「人々にどういう嗜好があるのか」という、すぐ使えそうな情報に目が行くのもわかります。ですが、「いま、流行っている」こと自体が、既に「過去のこと」であるのは忘れずに。インプットは未来の新市場をつくる材料や触媒を溜めるために行います。「すぐに使えそうなネタ集めではない」と肝に銘じてください。

未来の新市場へのアイディアは、たくさんの情報が投入された「脳内ごった煮のスープ」の中から少しずつ形になっていきます。短期的、マーケティング的な視点にとらわれず、まずはどんどん具材を投げ込みましょう。

(本原稿は、和田徹著『商品はつくるな 市場をつくれ』を編集・抜粋したものです)