ひろゆきが教える「いいものを作っても売れない時代」に考えておくべきことひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。
彼の「考え方の根っこ」を深く掘り下げ、思考の原点をマジメに語った『1%の努力』は、34万部を超えるベストセラーになっている。
この記事では、ひろゆき氏にさらに気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

「質」は十分条件ではない

 ものづくりを頑張っている人は多いと思います。いいものを作れば、買ってくれるはず。そう信じることは大事なことかもしれません。

 しかし、必ず同じように考える人は現れます。自分がおいしいと思っているラーメンも、すぐに他のお店でマネをされます。地方の農産物も、おいしいものを作るだけでは買ってくれるわけではありません。

「いいものを作る」というのは、必要条件ではあっても、十分条件ではないんですよね。つまり、売るために必要な要素が他に存在するのです。

「人に言いたくなるかどうか」

 人は、「買いたい」と思ったものを買います。感情が動くことが先にあります。

「いいものを作っているのに、なぜ売れないんだ!」と嘆いている人は、目に触れる機会を増やすしかありません。いったん採算を無視して駅で破格の値段で売ってみるとか、大学生に無料で配るとか、とにかく目に触れるチャンスを増やしてみましょう。

 次に、その商品を「人に言いたくなるかどうか」を考えます。

 口コミという言葉がありますが、実際に商品を使った人の感想は利用しない手はありません。その人がさらに第三者に紹介するためには、「キャッチーな宣伝文句」とか「ネタになるフレーズ」とか「教えたくなる雑学」が必要になります。

 ただ「いいものをいい」とは言わないものです。話のネタになるからいいのです。

「作る脳」と「売る脳」

 2ちゃんねるが広まったときは、口コミが99%でした。広告を打ったりしたことはありません。

 おそらく最初は理系の学生の間で広まっていったと思うのですが、サービスに魅力を感じた人がそこに残り続けてくれて、友達とか周りの人に「こんな世界があるんだぜ」と勧めてくれたのでしょう。

 その根幹には、「匿名で書き込むことは面白い」というニーズがありました。これは、僕自身、2ちゃんねるが登場する前から他の掲示板サービスを利用していたので感じていたことです。

 そこのニーズは感覚的に押さえておくことは重要です。でも、必ずしもそれによって作ったサービスは広まるわけではありません。「作るときの脳」と「売るとき・広めるときの脳」は分けて考えるといいと思いますよ。

 少なくとも、今は「いいものを作れば売れる」という時代ではありません。そこでヘタなプライドを持ってしまうと、自分が苦しくなってきます。商品やサービスを受け入れない「世間」のほうが悪いのだとか言い出す人もいます。

 そうならないように、マーケティング的な知識は学んでおいて損はないと思います。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。