イランとの新たな核合意を必死に追求する米バイデン政権の姿勢は、イランが挑発するたびに理解しがたいものになる。最新の挑発は13日、イラク北部に建設中の米領事館付近へのミサイル攻撃だった。イランは通常、代理勢力の民兵を通して騒乱を起こすが、今回は自身で行動に出た。政権の準軍事組織であるイラン革命防衛隊(IRGC)は、イラク国内にあるイスラエル関連の標的にミサイル攻撃を行ったと発表した。イスラエルが先週シリアを空爆し、IRGCの司令官2人が死亡したことへの対抗措置だという。しかし注目すべきは、ミサイルがイラク北部のクルド人自治区に着弾したことだ。クルド人は同国におけるアメリカの最良の協力者だ。死者は出なかったが、少なくとも2人が負傷した。米国とイランが新たな核合意に近づく中、IRGCは、この地域における米国の権益と同盟国の脆弱(ぜいじゃく)性についてメッセージを送りたいと考えているのだろう。