中国は高速通信規格「5G」ネットワークのインフラ構築を急ピッチで進めているが、本格的に5G技術が活用されつつあるのは工場や炭鉱、造船所、倉庫の中だ。中国は、広大な工業用地への高出力ローカル5G網の設置で他国より進んでいるという見方が一般的だ。5Gを利用することで労働集約型プロセスや危険な産業工程を自動化し、願わくは生産性を向上させることも目指している。その実例として、遠隔操作の掘削装置を備えた5G対応炭鉱や、生産・品質管理を自動化したスマート工場、インターネット接続されたカメラで貨物コンテナの処理や集計を行う港湾施設などがある。こうした5Gプライベートネットワークは、特定の事業拠点に合わせた専用のハードウエアとソフトウエアで構成され、その点で町や都市に張り巡らせる消費者向けネットワークとは異なる。公共ネットワークから独立しているため、具体的な要件に合わせた調整が可能で、より複雑な作業や工程に対応できる。