日銀は12月の金融政策決定会合で、物価が安定している状態の消費者物価指数(CPI)前年比は、2%以下のプラスで、かつ1%程度が中心だと説明した。
以前から基本的にほぼ同じことを日銀は説明してきたが、デフレは許容しないことを、あらためて強調するほうがよいと考えたという。
この発表の目的の1つは中長期金利の安定にある。「CPIが1%に近づくまで、日銀は利上げを行なわない」と予想する市場参加者が増えた結果、日銀の意図どおり、5年国債などの中期ゾーンの利回りは低下した。
ただし、日銀は今回、「CPIが1%を上回るまで現在の政策を続ける」とは明確に約束しなかった。そういった時間軸政策のほうが超低金利長期継続の印象はさらに強まるが、日銀はその弊害を恐れた。
先進国の中で最も利上げが遅いのは日銀になると日銀自身も予想しているだろう。
FRBやECBが利上げを開始したときに、市場参加者が日銀はまだまだ0.1%の政策金利を継続すると揺るぎない自信を持って予想すると、激しい円キャリー取引や資産価格の異常が起きる恐れがあり、あいまいさを残す必要があった。
よって、CPIが1%に達する前に利上げを行なうこともありうるが、オーソドックスに考えれば、日銀の利上げは早くても2012年半ばだと思われる。