ウクライナ侵攻に対するロシアへの経済制裁で、株価や通貨ルーブルの下落が続いている。銀行同士の通信網からの除外、対外準備資産の凍結や外資系企業の撤退などがロシア経済を凋落(ちょうらく)させていく経路を検証する。(第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト 西濵 徹)
西側諸国による経済制裁で
ロシアの金融市場は混乱
ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、欧米諸国などはロシアに対する経済制裁を一段と強化し、対抗措置に動いたものの、その後もロシアはウクライナへの侵攻の動きを強め、事態は膠着(こうちゃく)化し、長期化の度合いを増す展開が続いている。
欧米諸国によるロシアへの経済制裁を巡っては、ロシアへのエネルギー依存度の違いが影響して必ずしも一枚岩ではない。そして、現時点で示されている制裁内容はロシア経済に対して決定的に悪影響を与える内容とはなっていない。
ただし、欧米諸国などが実施した一部のロシアの銀行を対象とするSWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除によって、同国におけるビジネス環境が急速に悪化することが警戒されている。さらに、欧米諸国などは制裁対象にロシア中央銀行を加えており、これを契機にロシア金融市場に混乱が広がる事態に発展している。
西側諸国による経済制裁は、どのような経路でロシア経済を凋落(ちょうらく)させていくのか。次ページから、ひもといていく。