医療・医薬のDX写真はイメージです Photo:PIXTA

医師や患者の「インサイト」が
「見える化」されるDX改革とは

 他の業界に比べると遅まきながらではあるが、製薬業界もデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み始めている。ところが製薬業界では、DXに欠かせない肝心のデータが乏しい。

 どういうことかというと、従来ある売り上げデータや医療施設の位置情報データ、医師の個人データなどを組み合わせても、医師がなぜその治療法を選んだのか、実際に患者の経過はどう変化したのかなど、いわゆる医師や患者の「インサイト」(深層心理)がわからない。

 そのため、効果的なマーケティングプランの立案や適切なプロモーション活動ができず、売り上げアップにつなげられていないのだ。

 本来であれば、DXはそれらの内容が「見える化」され、売り上げアップや生産性向上に寄与することが求められる。が、製薬業界ではいまだ全くそのレベルにたどり着けていない。

 そのため、製薬業界ではDXを効果的に活用した成功事例が非常に乏しい。

 ところが最近、社内外のさまざまなデータとAIを駆使して、(1)医師や患者の新たなインサイトを容易に探索(2)医薬品の使用実態下における治療効果を見える化(3)それらの結果を「リアルワールドエビデンス」として創出するサービスが、日本に登場している。

 いったいどんなサービスなのか。次ページ以降では、製薬業界に存在するデータと、それらを活用するに当たっての課題、そして課題を解決する海外発サービスについて考察してみたい。