ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻と、これに伴う西側諸国の制裁措置を受けて、ロシア経済のエンジンである巨大な石油・ガス産業への打撃が鮮明になってきた。米国とカナダはそもそも少なかったロシア産石油輸入を禁止したほか、欧州連合(EU)も禁輸の検討に入った。だが、西側の制裁措置は今のところ、ロシアのエネルギー輸出の大半を直接制限することは避けている。とはいえ、米国とEUの制裁は、老朽化するロシア油田の開発・維持に必要な資金と先端技術へのアクセスをすでに遮断している。また西側エネルギー企業のロシア撤退が相次いでいることで、北極圏から太平洋に至るまで大型開発案件に支障が生じている。トレーダーや銀行はロシア産石油を搭載した貨物船の取り扱いを避けるようになった。そのすべてが、世界全体の1割を占めるロシアの石油生産を脅かしている。経済制裁を科されたイランやベネズエラなど産油国は、石油生産が深刻な打撃を受けて、それ以降なかなか回復できずにいる。ロシアも同じ道をたどることになりかねないとの指摘は多い。
ロシアのエネ業界に制裁の痛み、油田の衰退加速も
有料会員限定
あなたにおすすめ