中国にロシアとウクライナの調停役は務まる?
中国での分析に注目
ロシアによる軍事侵攻で端を発したウクライナでの戦争は、中国社会で「俄烏戦争」と呼ばれる。SNSでは、ロシア支持派とウクライナ支持派が激しく衝突を巻き起こした。上海、武漢などの大都市では、市民同士の間で「ミニ俄烏戦争」も勃発し、負傷者が出るほど、激しく論争している。遠い異国で発生した戦争に対して、中国国民がこれほど高い関心を持ち、こんなに熱心に議論する前例はあまりない。
視線を日本に戻すと、同じように強い関心が持たれている。人々はそれぞれ自分なりの判断による行動を起こしている。
東京在住の、とある日本人女性はインターネットやテレビから伝わってきた死傷者や難民関連の情報を見て、居ても立ってもいられなくなった。「ここは中国に仲介してもらうしかない。仲介できるのは中国だけだ」と思って、中国大使館にメールを送ろうとして大使館のホームページを見ても、該当する連絡先が見つからなかった。そこで、私に相談を持ち掛けてきた。彼女の熱意に心を打たれた私は結局、彼女が書いた中国大使宛ての手紙を中国大使館へ転送する依頼を引き受けた。3月3日に、私の手元に届いたこの手紙を直ちに中国大使館へ転送した。
戦争によって庶民が塗炭の苦しみを味わう境遇に陥っている現状を見て、立ち上がった日本の学者も多数いた。3月15日、和田春樹・東京大学名誉教授らが呼びかけ、ウクライナ侵攻を1日も早く止めるよう呼びかける声明をとりまとめた。翌16日に、代表らが外務省を訪れ、日本政府への働きかけを始めた。
「憂慮する日本の歴史家の訴え」としてまとめられたこの声明文は、ロシアとウクライナの戦争の行方に深い憂慮の念を示したうえで、日本、中国、インド三国の政府に次のように呼びかけた。
「われわれは日本、中国、インド三国の政府にウクライナ戦争の公正な仲裁者となるように要請する。ロシア軍とウクライナ軍は即時停戦し、停戦交渉を正式にはじめよ。ロシア軍はロシアにとっても信仰上の聖地であるキエフへの総攻撃をやめなければならない」
それでは、中国は果たしてウクライナ戦争の調停者という大役を引き受けるのか。