「米大統領閣下、バリ島へようこそ。夕食会であなたとご一緒するのは、大量殺人を行った戦争犯罪人のウラジーミル・プーチンです」。今われわれが行動しなければ、今年10月にインドネシア・バリ島で開く主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、こうしたシーンが展開されることになる。私には、次のような米英政府からの反対の声が聞こえる。・「G20はわれわれの所有物ではなく、対話の場は重要だ」。確かにその通りだ。しかし、G20の会議は、権威と尊敬の念を示すものでもある。ロシアのプーチン大統領がウクライナで既に行ったこと、今行っていることを見れば、G20がこうした場になるとは考えられない。・「あなた(当時の英首相のキャメロン氏)とバラク・オバマ米大統領は、プーチン氏がウクライナとシリアで何をしたか知りながら、2014年と2015年にプーチンとともにG20会議に参加したではないか」。確かにそうした。その際のプーチン氏との会話は、無意味よりひどいものだった。彼は、マレーシアの旅客機撃墜事件の真相から、ウクライナ・ドンバス地方でのロシア軍の存在に至るまですべての事柄について、われわれに露骨なうそを聞かせた。いずれにせよ、過去1カ月間にわれわれが目にしてきたのは、これまでとは別次元の状況だ。独立した民主主義の主権国家に対し、第2次世界大戦と同様の残虐さで全面侵攻したのだ。そして2014年にわれわれは、プーチン氏の当時の行為を理由に、ロシアを主要8カ国(G8)の枠組みから排除した。