トヨタ式“カイゼン”は、ホテルの「朝食ビュッフェ」をどう変えたのかPhoto:PIXTA

長野県にある「テラス蓼科リゾート&スパ」は、トヨタグループが経営するホテルだ。グループ社員の保養所としてオープン。のちにレクサスオーナーをはじめ、一般ゲストにも開放されるようになった。そんなテラス蓼科では、形式にとらわれない利用者視点に立ったサービスが提供されている。例えば、朝食や夕食の提供においても、顧客満足度の向上を目指した“カイゼン”が実践されている。
※本稿は馬渕博臣著『レクサスオーナーに愛されるホテルで学んだ 究極のおもてなし』(KADOKAWA)を一部抜粋・再編集しています。

「トヨタグループのホテル」が
従来のホテルと一線を画したワケ

 テラス蓼科が開業前から目論んでいたのは、近隣のホテルとの差別化だった。

 例えば、テラス蓼科から東に2.5キロメートルほど行ったところにヨーロピアンスタイルの豪華なリゾートホテルがある。

 日本を代表するトップ企業であるトヨタのバックアップがあれば、そのホテルと競えるような豪華なホテルを建設することも資金的には不可能ではなかっただろう。だが、トヨタはそのスタイルを選ぶことなく、自然と調和したシンプルなホテルを立ち上げる決心をする。

 と同時に、おもてなしという点では、ホテルマン然としたしたり顔で自分たちの技量を見せびらかすのではなく、従来のホテルの枠を取り払った真心の込もったサービスを提供することを目指していった。

 では実際に、どういったものが従来のホテルの枠を取り払ったサービスと言えるのだろうか。一例として、朝食のケースを紹介してみたい。