今回も前回に引き続き、株式会社ネクストの井上高志社長に「仕事の極意」についてお話を伺います。今回はその【後編】です。 前回【前編】はこちら。
■ 社長ファイルNo.4 ■
株式会社ネクスト 代表取締役社長 井上高志 氏
■ 井上社長が選んだ「仕事の極意」(スキル)は・・・ ■
目標設定能力
井上高志(株式会社ネクスト 代表取締役社長)
1968年生まれ。横浜市出身。1991年に株式会社リクルートコスモス(現、株式会社コスモスイニシア)入社。リクルートを経て、1995年にネクストホームを創業。1997年に株式会社ネクスト設立、代表取締役に就任。「人と住まいのベストマッチング」を第一義に、インターネットを駆使し、日本最大級の住宅・不動産情報ポータルサイト『HOME'S(ホームズ)』を運営。2006年には東証マザーズに上場を果たす。同じく2006年、不動産ポータル事業にとどまらず、地域コミュニティサイト事業『Lococom(ロココム)』もサービス開始。グルメから教育や求人、医療にいたるまで、地域活性化のためのコミュニティ作りを行なっている。
高城 前回お話を伺って、井上さんの仕事力の源泉が「目標設定能力」にあることがよくわかりました。そこでお聞きしますが、今の若いビジネスパーソンを見て、もっとこうだったらいいのにと思う点はありますか?
井上 一般論として、視野が狭い感じはしますね。スモールワールドの殻にとじこもって、その殻を破るような、限界を超える体験をあまりしていない気がする。なんとなく予定調和の中で、他の人をちょっとリードするだけで安心して、それ以上を目指そうとしない、という印象はありますね。
目標の主語を「会社」から
「世の中」に置き換えて考える
高城 もし20歳代のビジネスパーソンが「井上さんのようになりたい」と言ってきたら、どういうアドバイスをしますか。
井上 とかく会社組織で働いていると、会社や所属部署の利益が自分の目標になりがちです。そういうときは、「世の中」を主語にして考えてみるといい。世の中をこう変えたい、良くしたい、便利にしたいというイメージを持ち、そのために自分はこの会社でこの仕事をする、と発想を逆転させるわけです。
そして、それをなるべく言葉にしてみてはどうでしょうか。おそらく最初は恥ずかしいと思います。「そんなこと、できるわけがない」と笑われるかもしれません。僕も会社を辞めるとき、いろいろな人にビジョンを語りましたが、10人中9人には「よくわからない」と言われるだけでした。でも、それが自分のモチベーションになるんです。
高城 そういう目標を設定するには、常に問題意識を持つことが必要でしょう。