日銀は債券の投機筋との闘いで初戦を制した。だが、それがもたらした円安加速という結果は、日銀にとって闘いが終わっていないことを意味している。日銀はこの1週間で、低金利政策を堅持する姿勢を鮮明にした。他の主要中銀に追随して日銀も金融引き締めに動くとの思惑から、債券利回りを押し上げる動きが広がっていたためだ。日本国債10年物の利回りは3月初旬の0.17%から、同月28日の取引では一時0.25%を上抜けた。これは日銀が「長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)」政策の下で上限としている水準だ。ところが、日銀が無制限の国債買い入れオペ(公開市場操作)を実施するなどして、上限を死守する決意を改めて強調すると、国債売りは失速した。4月1日の取引で、10年物利回りは0.21%となった。
円安の功罪、日銀に迫る悪いインフレの足音
低金利がもたらす円安でさらに大幅な値上がりを招く恐れも
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