ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

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マカオってどんな地域?

 中国南部のチュー川(珠江)河口の西南岸に位置し、広東省珠海市とつながるマカオ半島部分とタイパ島、コロアン島からなります。

 1557年にポルトガルがマカオの租借権を獲得して以来、実効支配が始まり、1887年に割譲されて植民地となりました。

 1980年代になり中国政府との間で返還交渉が進展し、1999年に中国に返還され、マカオは香港同様に「一国二制度」のもと特別行政区となりました。

世界No1のカジノ売上高

 経済を支える観光業は、GDPの約80%を占めます(2019年)。なかでもカジノ産業は、植民地下の1847年に合法化されて以来長い歴史を誇り、政府の財政収入の約80%を占めます。

 とくに返還後は、アメリカのカジノ企業の誘致による業界の活性化、カジノ産業の制度整備と透明性・安全性の確保、統合型リゾート(IR)の建設、中国本土の富裕層の呼び込み等により飛躍的に発展し、2006年には売上高でラスベガスを抜いて世界一になりました。

 2018年に完成した香港とマカオ・珠海を結ぶ港珠澳大橋(こうじゅおうおおはし)は、それまでフェリーで1時間以上もかかっていた香港国際空港ーマカオ間の移動を30分程度に短縮し、観光客の入込を促進しています。

 一方、カジノ業界ではカンボジアフィリピンなどが台頭しており、マカオといえども安泰ではありません。

港珠澳大橋 Photo:Adobe Stock港珠澳大橋 Photo: Adobe Stock

マカオ

面積:28㎢ 人口:63.0万

通貨:パタカ
言語:中国語(公用語)、ポルトガル語(公用語)、英語
宗教:民間信仰58.9%、仏教17.3%
隣接:中国

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)