ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

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カンボジアってどんな国?

 カンボジアはインドシナ半島の南部に位置し、東側はベトナム、北側はラオス、北西側はタイと国境を接します。

 国土の中央を流れるメコン川と西北部のトンレサップ湖周辺の平野が国土の約40%を占めます。

 1992年に世界遺産に登録されたアンコール遺跡群は、12~15世紀に勢力を誇ったアンコール朝が建造したものです。

 列強によるインドシナ半島支配が拡大する中、1887年にフランス領インドシナ連邦に編入され、植民地化されました。

 第二次世界大戦後は1953年にカンボジア王国として独立しましたが、1970年、アメリカの支援を受けた右派のクーデターをきっかけに内戦状態に突入しました。

 1975年に誕生したポル・ポト政権により100万人以上が虐殺されるという悲惨な時代を経て、1993年に立憲君主国家としてのカンボジア王国が復活しました。

中国企業の出資でアパレル縫製業が急成長

 カンボジアの主要産業は米作を中心とした農業で、就業人口の約50%を農業が占めます。

 他方、製造業において急激な伸びを示しているのが縫製業で、その中核を担っているのが中国企業です。2019年の場合、海外からの投資の実に約80%を中国が占め、その大部分が縫製業です。

 中国は、①自国の3分の1という賃金水準、②「一帯一路」の推進、③カンボジアへの生産移管による米中貿易摩擦回避(間接輸出)を狙って、積極的な投資を続けています。

東南アジア東南アジア

カンボジア王国

面積:18.1万㎢ 首都:プノンペン
人口:1730.4万 通貨:リエル
言語:カンボジア語(公用語)
宗教:仏教97.9%(国教)
隣接:タイ、ラオス、ベトナム

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)