過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、平尾氏の初の著書となる『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』に掲載されている「現代のビジネスパーソンが身につけるべき、起業家の5つの力」から抜粋。「不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代」に自分の頭で考えて成果を生む方法を紹介します。
仕事を達成する「目的」を探す
問題を発見するには、目的を探さなければなりません。
なぜその問題に向き合うのか、その目的を明確にすることで、問題の軸、本質が発見できると思います。
目的を持てないのは、仕事の意図を把握していないからです。
仕事が与えられたときに「上司に言われたから」「仕事を振られたので」となんとなく取り組んでいても、目的や意図は見えてきません。
「なぜその仕事をするのか」
「なぜ自分がやらなければならないのか」
これらについて深く考える必要があります。
まずは自分で考えてください。それで目的が理解できれば、その目的を達成するために仕事をしてください。わからなかったり、疑問があったりする場合には、上司や先輩に質問してください。
私もリクルート時代から、徹底的に聞きました。聞きすぎて怒られたこともあります。
「いいからやれ」
そう言われたときも、安易に納得せず食い下がりました。
「なんで『いいからやれ』なんですか?」
「だったら、ぼくがやらなくてもよくないですか?」
生意気で面倒くさい部下だったと思います。
でも、これは非常に大事なことです。目的もわからないまま仕事をしても、得るものはありません。ただの作業マシーンです。
何のためにやるのか、なぜ自分がやるのかがわかれば、その仕事がどのような仕事の一部なのか、その仕事を仕上げた先に何があるかなど、全体像が把握できます。
全体像が把握できれば、その仕事の価値や意味がわかります。
仕事の価値や意味がわかれば、その仕事にどのように取り組めばいいかがわかります。
全体の価値がわかれば、仕事のやり方が変わってくるのです。何のためかがわかったほうが、人間は折れません。
レンガ職人の有名な逸話の通り、レンガを積むだけの仕事なのか、歴史に残る大聖堂をつくる仕事なのかによって、仕事に対する重要度の認識が変わります。目的を理解することで自分の仕事の重要度を上げていく作業が必要です。
反対に、仕事を命ずる上司にも考えさせるきっかけになります。
「なぜこの部下にこの仕事をやらせなければならないのか」
「この仕事をどのように仕上げてもらいたいか」
「この仕事をやらせることで、部下にどのようになってもらいたいか」
上司に質問することから始めないと、問題に含まれる「真の問題」が特定できません。
真の問題がわからなければ、目的にはたどり着けません。自分がその仕事をすることが目的ではなく、この仕事をすると何を達成できるかが目的なのです。
(本原稿は、平尾丈著『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』から一部抜粋・改変したものです)