ついにドル円の為替レートは1ドル=128台を付けた。円安の急進に「悪い円安論」が拡大しており、それが日本銀行に金融引き締めへの転換を迫る圧力となりかねない状況となりつつある。しかし、日銀は今、金融引き締めに動いてはいけない。その理由をお伝えしたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
急激に進む円安
1ドル=128円台に
円安が進行している。4月19日には1ドル=128円台を付けた。年初に115円であったことを思うと、大幅な円安だ。
1ドル=125円が通称「黒田ライン」などと呼ばれて、この辺が円安のめどだと言われていた。2015年6月に1ドル=125円前後まで円安が進んだとき、日本銀行の黒田東彦総裁の発言内容を円安けん制と受け止めた市場が、そういう見方を持っていた。
しかし、後講釈を承知で相場論を言うなら、黒田ラインと意識されている時点で、ここを突破する可能性が高いと考えておくべきだった。「次は130円だ!」と言いたいところだが、それは、単に切りのいい数字がそこにある、と言っているに過ぎない。為替レートの予想は難しい。