鈴木福の天職は…番組MC!?

加藤:左利きであることは性格形成にも大きな影響を与えるんですけど、福くんはまわりから性格に関して、どういったことをよく言われますか?

福:この仕事をしているからかもしれないですけど、「よく気がつくね」とは言われます。

 コメントをするときは、他の出演者が言っていないことを言わなくてはいけないじゃないですか。だから最後に回答の順番が回ってきたときなんかは、まだ言われていないことを探して言おうとするので、「そういう視点もあったか」みたいなことは、ちょくちょく。

 いっぱい気づく努力をするというのは、この仕事で身についたものだと思っていたんですけど、いま先生のお話を聞くと、左利きゆえの視野も影響しているのかもしれませんね。

加藤:左利きの人は、本人が意識していないときにもいろんなことに注意を向けているので、対人関係における細やかな観察力とか気付き力っていうのは、習熟が早くなる傾向はあると思います。

 それが、福くんが子役として早くに成功する要因の一つにはなったかもしれませんね。

福:人の真似をするのは長けている、と言われることが多いです。

 やっぱり子役となると、自然な感情表現ができるということよりも、ドラマで皆さんがやっているような話し方や振舞いができるか、ということのほうが大事になってくるんですよ。

 周囲の動きを捉えて頭の中で再現して体現する。俳優というお仕事をしていると、そういったことを常にやってはいますね。

加藤:福くんのような売れっ子俳優ですら、実は苦労してまわりに注意を向けていた。それを知ったら多くの左利きの人は励まされるでしょうね。

 でも僕から言わせていただくと、福くんは役者もいいんだけど、テレビ番組なんかのMCというのもすごく向いていると思います。まわりに広く配慮できるから。

 今はまだ10代で、大人の出演者を束ねるというのは大変だと思うけど、あと何年かしたらぜひ挑戦してほしい。きっと成功すると思いますよ。

福:事務所はそっち方向も望んでいるんですよ(笑)。

加藤:さすがマネージャーさんは福くんの才能を正しく捉えていますね。歴代のアメリカ大統領は、左利きがとても多いんですよ。さっきの視野じゃないけど、全体を見る意識というのが高いので、リーダーなど人をまとめる素質があるんです。

左利きに向いている職業は?

福:左利きに向いている職業とかってあるんですか?

加藤:基本は、ひらめきや独創性が高いので、アート系の職業は向いていると思います。それと、格闘技もいいと思いますね。

福:たしかに格闘技やスポーツって、左利きの人のほうが左右バランスよく鍛えられるな、という印象はあります。

 僕は空手をちょっと習っていたことがあるんですけど、最初は右の技から教えられるんですよ。もちろん教室によると思うんですけど、先生も右利きが多いから、どうしても見本は右になりますから。

加藤:たしかにそうですね。

福:だけど何でもないときに左利きの子に「ちょっとこれを殴ってみて」と言ったら、当然左手で殴ると思うんですね。もともと左の機能は発達しているところに、教室とかに通ったら右の機能も鍛えることになるので、バランスが良くなるよねっていうのはすごくある気がしているんです。

 実際僕も、回し蹴りだったら左足のほうが好きなんですけど、真っすぐ立って普通に蹴るだけなら右足のほうが得意なんです。どちらの足でも、それなりにイケますね。