10人に1人といわれる左利き。「頭がよさそう」「器用」「絵が上手」……。左利きには、なぜかいろんなイメージがつきまといます。なぜそう言われるのか、実際はどうなのか、これまで明確な答えはありませんでした。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社刊)では、数多くの脳を診断した世界で最初の脳内科医で、自身も左利きの加藤俊徳氏が、脳科学の視点からその才能のすべてを解き明かします。左利きにとっては、これまで知らなかった自分を知る1冊に、右利きにとっては身近な左利きのトリセツに。本記事では本書より一部を特別に公開します。

「左利き」はマイノリティではなく、10人に1人の選ばれた人Photo: Adobe Stock

左利きはマイノリティではなく
「選ばれた人」

 左利きが豊かな人生を送るのをじゃまするものがあるとすれば、それは自分自身を否定する心です。自分を右利きと比べて、言葉でうまくまとめられないから「頭の回転が悪い」とか、思いつきばかりでなかなか実践できないから「行動力がない」などと劣等感を抱いて、自分を低く評価してしまう……。

 これさえなければ、左利きは右利き社会のなかで「10人のうち、1人しかいないマイノリティ」ではなく、「10人にたった1人だけの選ばれた者」になることができます

 自分の実力を過小評価しない、すごい左利きになるためにできるのが、もっと左脳を使うことです。

 私も以前はそうだったのですが、左利きの悩みはどうしても感覚的になりやすいです。「何がやりたいかわからない」「自分ばかり理不尽に注意されてる?」などとモヤモヤした思いがあっても、そのままにしておくだけでは浮かんでくる答えも漠然としたものになりがちです。

 そのため私は、ここ数十年は気になることがあると、それをあえて言語化してノートに書き出すようにしています。たとえば、何か不安を感じるようなできごとがあったら、そのことをノートに書き「なぜ、そう感じるのか」と言葉で自分に問いかけるのです。

 すると「過去に同じような場面があったから」とか「今日は体調が優れなくて、なんでもネガティブに受け取りがちだったかも?」などと答えが見えてきます。そうすれば「前と同じ行動はしない」「今日はぐっすり眠って、明日また考えよう」などといった悩みの解決法もおのずと浮かんでくるでしょう。

 今は変化の激しい時代だからこそ、私は左利きの発想力が世の中に求められていると思っています。

 右利きが主に使う左脳は、言葉や計算、そして論理的、分析的な思考をする「直列思考」が得意です。そのためどうしても「これまで」とは離れた、斬新な考えが生まれにくいです。

 一方で右脳は、さまざまな情報が同じようにプカプカと浮かんでいる「並列思考」の脳です。だからその情報を自在に組み合わせることで、柔軟な発想が生まれます。(関連記事:「左利きと右利きの言語能力」脳内科医が明かす決定的な違い

 つまり、行き詰まったときや何か危機が起きたときなどに、局面を打開する新たな考えを生み出しやすいのです。何が起こるかわからない、これまでの常識とはかけ離れた事態に陥る可能性が少なくない今、左利きは社会に強く求められていると知っておいてほしいのです。