ウィル・スミスさんを擁護する日本人の「正しい暴力」とは

 3月に米アカデミー賞の会場で、ウィル・スミスさんが妻の脱毛症をジョークのネタにされ、コメディアンに平手打ちを喰らわせた。アメリカでは「口で抗議をせずに手を出した」として、ウィル・スミスさんを厳しく批判するメディアや著名人が多く、アカデミー会員を退会することになった。

 しかし、日本では真逆の反応となっている。

「侮辱された奥さんのために批判覚悟で手をあげるって超かっこいい!」「暴力は悪いことだが、相手が先に言葉の暴力を仕掛けたわけだからしょうがない部分もある」という感じで、ウィル・スミスさんを擁護・支持する声が多いのだ。

 中には、ウクライナのゼレンスキー大統領と並べて、「口でいろいろ綺麗事を並べて何もしない人よりも、命がけで国や家族を守る男らしさが世界の潮流になってきた」なんて喜んでいる人もいらっしゃる。「暴力は悪いことだけれど、家族を守る暴力はギリギリセーフ」という価値観を持つ日本人がかなりいらっしゃるのだ。

 アメリカでは「どういう事情があっても暴力はダメ」という風潮なのに、なぜ日本では「世の中には正しい暴力もある」という人も多いのか。