アンガーマネジメントが実践されれば、ウィル・スミスは平手打ちをせずに済んだかPhoto:Neilson Barnard/gettyimages

米アカデミー賞授賞式の「平手打ち事件」について、日本とアメリカでは受け止められ方がやや違うようである。アメリカで重要視されているという「アンガーマネジメント」を、筆者が実践してみた。(フリーライター 武藤弘樹)

ウィル・スミス平手打ち事件
アンガーマネジメント本場のアメリカでは

 日本時間の先月28日にアメリカで行われたアカデミー賞授賞式で、俳優のウィル・スミス氏が、プレゼンテーターを務めていたクリス・ロック氏に平手打ちをした一件が波紋を広げた。ウィル・スミス氏は脱毛症に悩む妻の短髪をクリス・ロック氏のジョークのネタにされ、激高して平手打ちと放送禁止用語を見舞った、という顛末(てんまつ)である。

 この事件そのものもかなり衝撃的だが、日本とアメリカで受け止められ方が大きく異なっているという点も話題になった。どちらかというと、日本はウィル・スミス氏に同情的で、アメリカは否定的、というものである(なお、アメリカ世論も一色というわけではなく、賛否は所得層によって変動するようである)。

 日米で差が生まれた一因を、「“怒り”に対する捉え方が両国で違う」とする見方がある。一説には、かつて車のトラブルが発端の射殺事件が頻発していたアメリカでは、怒りのコントロール法を説いた“アンガーマネジメント”が広まり、「怒りはきちんとコントロールすべきである」という風潮がより強いらしい。ゆえに、ウィル・スミス氏に批判が集まったとのことである。

 ウィル・スミス氏の平手打ち事件以降、“アンガーマネジメント”という語をにわかに各所で見かけるようになったので、今回は筆者がきちんと入門書でそれを勉強し、実生活でどのように役立てられるのかをリポートしたい。筆者は一部の対戦ゲームをやっていると非常にイライラしてしまい、そのイライラがプレーのパフォーマンスを著しく下げることを自覚していたので、このイライラを鎮めるすべを探してもいた。

 また、アンガーマネジメントに立脚するなら、ウィル・スミス氏は平手打ちではなくどう対処するのがよかったのか、ということもあわせて考えてみたい。