「共立女子」はOGが初就任、私立中高一貫女子校注目の校長人事【2023年入試版】初めて卒業生から中高の校長が誕生した大規模中高一貫校「共立女子」(千代田区)

前回は、オーナー系の学校と大学系列校について、新校長人事を見てみた。今回は、首都圏にある私立中高一貫女子校について引き続き見ていこう。校長人事からは、各校の目指す方向と内部事情が垣間見える。女子校には男性校長が多いことにも気付くだろう。(ダイヤモンド社教育情報)

創立以来のOG校長が就任

 首都圏の私立中高一貫女子校でも新しい校長が続々と誕生している。女子校で、1学年の生徒数が300人を超えるような大規模校は数えるほどしかない。創立から136年、新制中学になってから75年、各学年に400人前後が在籍している共立女子で、初めて卒業生が校長になった。高校の教頭から就任した前田好子氏である。さっそくホームページで、「みなさまごきげんよう」から始まる動画のメッセージを発信している。

 共立女子学園には、中高と短大・大学・大学院に幼稚園を合わせて8200人ほどが在籍している。一方、同じ千代田区にあり、中高から大学院までを擁する大妻学院は、多摩・中野・嵐山(らんざん)にも付属の中高を持つ。在籍者数は総勢1万2000人ほどと、女子の学び舎としては最大級の規模を誇っている。

 この大妻でも校長が交代した。新校長の梶取弘昌氏は、男子校の私立武蔵OBで、東京藝術大学声楽科を卒業後、母校で芸術科の教員を務めて校長になった異色の存在である。70歳からの女子校での登板となった。前校長の成島由美氏は、ベネッセコーポレーションの執行役員から転じていたが、今回、古巣の経営陣に戻る。これにより、大妻多摩の熊谷昌子氏が、学院内の中高で唯一の女性校長ということになる。

 同じく千代田区では、麴町学園女子と神田女学園でも校長が交代している。麴町学園女子の新校長には堀口千秋氏が就任した。東京理科大卒業後、理科教員として入った獨協埼玉ひと筋で、中学校の設立にも関与、広報部長や教務主任などを経て教頭となった。前校長の山本三郎氏は、前任の帝塚山学院(大阪市住吉区)で手掛けた関学コースの実績を買われ、本校でも東洋大学グローバルコースを設けている。

 神田女学園では、第15代校長として芦澤康宏氏が就任した。2019年に本校の副校長に就任する前は、学校法人嘉悦学園の理事、大学の事務局長兼アドミッションセンター長、中学の教頭などを務めてきた。前校長の宗像諭氏は広尾学園や開智日本橋学園の共学化や国際バカロレア(IB)の導入などで力を振るった後、2018年から校長に就任した本校でもアイルランドとニュージーランドの高校とのダブルディプロマプログラムを立ち上げている。