3つの問題を止めるには、もう一度、「白哲学」優位に舵を切ったほうがいい。現代は思想史の中で、「黒哲学」からまた「白哲学」に転換しようとしている真っ只中なのだといえます。大きな流れとして、次のような動きが挙げられます。

・理想実現のためにはパターナリズム(暴力を含むある種の強制)が必要!
・格差を許容する言動は許さない! 自分の言動に責任を持て!
・強者の蹂躙を許すな! 調子乗っている強者がいたら徹底的に叩け!

 みんなが分散して好き勝手にやっていた「黒哲学」優位の時代に、解決不可能な問題がたくさん生み出されてしまいました。そこで今度は、「みんなである程度集団化して、とにかく実力を行使して理想(公共の安全)を実現しよう」とする思想が、大きなうねりとなって押し寄せてきているのです。

今、起こっている2つの動き

「黒哲学」から、新たな「白哲学」へ。具体的には、次のような動きが見えてきています。

①精神的集団化
 何らかのひとつの真理(たとえば「差別はいけない」「男女問題についてこういう発言は絶対に許してはいけない」など)を旗印にして集まり、自分たちの信じる正義を守る活動をする。
例)匿名によるポリコレ、キャンセルカルチャー、アノニマス活動

②肉体的集団化
 みんなが分散して好き勝手していても問題は解決しないから、自分たちの身の回りで物理的に集まり、自分たちの公共を守る活動をする。
例)自国第一主義、ブロック経済、領土争い

 これからは、「黒哲学」の弊害から生まれた問題を解決するために、「白哲学」優位の時代が来ると考えられます。そしてそれはある意味、また「戦争の時代」が訪れるということでもあります。