わたしたちがいま生きているのは「ストレス社会」とも呼ばれる、精神的に疲労が溜まりやすい時代だ。気持ちが沈みがちな人も多いのではないだろうか。
人間関係や仕事、お金や健康など、悩みの種を挙げはじめたらきりがないが、むやみにストレスを溜め込んでしまうと心身に不調をきたしてしまう。
そこで、精神的負担を軽減するために参考になるのが、仏教の視点から人生の様々なストレスや悩みへの対処法を語るYouTubeチャンネルが人気の、現役僧侶・大愚元勝の初の著書『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社刊)だ。SNSでは「心が洗われた」「人生の歩み方を学んだ」といった感想が相次いでいる。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、友人として絶対に付き合ってはいけない「4種類の人」をご紹介する。(構成/根本隼)
絶対に避けるべき「4種類の人」とは?
人間は、必ず、他人の影響を受けています。だからこそ、「誰と付き合うか」が重要です。お釈迦様は、「次の4種類の人は敵であって、友に似たものにすぎない、と知るべきである」と述べ、「危険な道を避けるように、敵を遠く避けなさい」と教えています。
「4種類の敵」とは、
1)何ものでも取っていく人
・人に与えるときは少ないのに、自分が受け取るときは、できるだけ多く得ようとする人
・自分の利益のみ追及する人
2)言葉だけの人
・「あのときは、ああしてあげた」と、過去のことを恩に着せて友情を装う人
・「今度、こうしてあげるから」と、未来のことに関して友情を装う人
・なすべきことが迫ってくると、「都合が悪い」と言い出す人
3)甘言を語る人(甘言:口当たりのよい言葉)
・目の前ではお世辞を言い、裏では陰口をたたく人
・うわべだけはうまい言葉を語って、中身がともなっていない人
4)遊蕩の仲間(遊蕩:ギャンブル、お酒などに溺れること)
・飲酒、ギャンブルに明け暮れている人
のことです。
真の友人といえる「4種類の人」とは?
一方で、お釈迦様は、「次の4種類の友人は、心のこもった友であると知るべきである」と述べています。「4種類の友人」とは、
1)助けてくれる友
・元気がないときに、守ってくれる人
・正常な判断ができなくなったときに、正しい行動に向かわせる人
2)苦しいときも楽しいときも一様に友である人
・窮地に陥っているときに、見捨てない人
・辛いときにも一緒にいてくれる人
3)自分のためを思って話してくれる友
・悪い道に入らないように忠告したり、大切な情報を教えてくれる人
4)同情してくれる友
・落ち目になったときに心配してくれ、上り調子のときには一緒に喜んでくれる人
・人から悪口を言われたときに、弁護してくれる人
友達付き合いの基準を持つことが大事
お釈迦様は、このような「4種類の友人」こそ「親友」であると説き、「真心を持って交流しなさい」と説いています。
心が弱っているとき、心が欲しているとき、心が憤っているときには、悪友が寄って来やすいものです。人間関係の苦しみを手放すには、「どのような人と付き合い、どのような人と付き合わないか」の基準を持つこと。
その基準となるのが、お釈迦様の教えにある「4種類の敵」と「4種類の友人」なのです。
苦しみはあなたの心の「SOS」
あなたは今、何かしらの苦しみを胸中に抱えていらっしゃるのではないでしょうか。ひょっとしたら、あなたではなく、あなたの大切な人が「苦しみ」を抱えていらっしゃるのかもしれません。
苦しみは、あなたの肉体や精神を傷つけ、あなたの心身の力を失わせ、あなたから貴重な時間を奪っていきます。それは一見とても不幸なことに思えるでしょう。けれども別の見方をすれば、「苦しみ」はあなたの潜在意識が発するSOSでもあるといえるのです。
たとえば、さまざまな病気が、私たちが知らず知らずのうちに積み重ねてきた、望ましくない生活習慣に対して発せられる体からのSOS(警鐘)であるように、あなたの「苦しみ」は、あなたが知らず知らずのうちに積み重ねてきた「生き方」に対してのSOSなのです。
日々の積み重ねが「苦しみ」や「幸福」をもたらす
「生きる」とは、心で思ったことを言葉に表し、行動に表すことです。日々「何を思い、何を話し、何を行うのか」その積み重ねが、「苦しみ」という結果をもたらすし、また「幸福」という結果ももたらします。
病気になりやすい生活習慣もあれば、病気になりにくい生活習慣もある。同様に「苦しみ」を生み出しやすい生き方もあれば、「苦しみ」を離れて生きる生き方もある。ぜひ、この本を読んでそのことに気づき、新たな一歩を踏み出していただきたいと思います。
(本稿は、『苦しみの手放し方』より一部を抜粋・編集したものです)