胡錦濤氏の「報告」から見えてくる
内需拡大、産業の高度化に向かう中国

――では、新指導部が手がける政策、とりわけ経済政策はどうなるだろうか。足もとでは景気減速感が弱まってきたものの、中国がこれまでの高成長を維持できるかどうかについて、専門家の見通しが分かれてきた。これは、中国経済への依存度が高い日本にとっても大きな関心事だ。

 先の党大会や人事で胡錦濤氏が前指導部を代表して行なった「政治活動報告」の中身を吟味すれば、いくつかの方向性が見えてくる。

 そこでは、原則として国内重視へシフトするとしている。胡氏の報告の中には、「中国共産党が未曾有のチャレンジに遭遇している」という表現があり、常に新しい発想で改革をしないと当面の問題は解決できないということを強調している。

 中国は、GDPで世界第2位の経済大国になったとはいえ、経済面では過去30年の発展モデルが通用しなくなりつつある。今までは安い人件費を競争力にしてモノをつくり、海外に輸出する一方、外資や技術の導入で国内の雇用問題を解決してきた。

 しかし足もとでは、人々を低賃金で働かせることができなくなり、コストが上昇している。先進国が軒並み国内問題を抱えており、中国から製品を大量に輸入する余裕もなくなった。

 問題は、国全体としては1人当たりGDPが5000ドルを越えたものの、国内格差が拡大していること、少子高齢化が進み福祉制度の整備が遅れていることなどにより、国民の不満が募っていることだ。新指導部は、こうした状況を新しい経済政策で乗り切る必要に迫られている。

 そこで、一昨年からの第12次5ヵ年計画では、内需拡大、消費市場育成、産業構造の高度化へのシフトなどを、明確に打ち出した。むろん、経済の転換はそう簡単ではないが、新しい中国はこうした経済政策へと本格的に舵を切っていくだろう。

――中国の格差問題はますます深刻になっている。国民の突き上げに、政府はどう対処するのだろうか。

 中国国民の多くは以前よりも豊かになり、権利意識が向上したため、政府への不満を公然と口にするようになった。それに拍車をかけているのが、国内格差の拡大だ。