なぜ文在寅政権時に日韓関係が悪化したのか

 尹錫悦キャンプの対日外交政策ブレーンの注目点は、韓国の近しい友好国だった日本が、文在寅政府になって、どうして突然、北朝鮮に代わる韓国の新しい最大の敵になったのかに対する、冷静な分析と原因究明である。

 文在寅政府下における日韓関係の悪化は、決して日本が韓国を刺激したわけではなかった。韓国の主体思想派政権が、主流を掌握する目的で、民衆の心を集結させるために、日本の過去の歴史と「竹槍歌」を巧妙に利用したものだ。しかし、もし日本と韓国が血を流して戦うことになっても、得られるのは国益の大量出血と両国民の苦痛でしかない。さらに日韓開戦となれば漁夫の利を得るのは、中国と北朝鮮である。

 尹氏の対日外交ブレーンは、これ以上日韓関係が、両国の政治的目的に悪用されることがないようにしなければならないと考え、日増しに緊張が増しているグローバル環境と、非常に深刻な北の核の危機を解決するためにも、日韓関係を戦略的パートナーへ発展させ、韓米日同盟の威力を、より高めなければならないという、政策的プランを示すに至ったようだ。

 このような努力は、いろいろな会見を通して知ることができる。尹氏は、2021年6月29日、尹奉吉(ユン・ボンギル)記念館で開催された、大統領選候補出馬記者会見で、文在寅政府の対日関係悪化に関連して、「理念偏向的な『竹槍歌』を歌って、ここまで来た」と鋭く批判した。「文在寅政府が、政権末期に収拾を試みたが、うまくいかなかったようだ。(中略)韓日関係では、過去の歴史は過去の歴史として、私たちの後の世代が、歴史を正確に記憶するために、真相を明確にしなければならない問題であり、未来は、これから育つ次の世代のために、実際に協力していかねばならない関係であると考える」と述べ、日韓関係の大転換を宣言した。