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あなたの職場には、仕事ができずに周りに迷惑をかけているのに、本人は仕事ができるつもりでいる、困った人がいないだろうか。周りから見るとどう見ても力不足なのに、本人は自信満々……なぜ、仕事や勉強ができない人に限って「自分はできる!」と自己評価が必要以上に高いのだろうか?これには心理学的な裏付けがある。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

※本記事は『「指示通り」ができない人たち』(日経プレミアシリーズ)から抜粋・再編集したものです。

新人なのに、なぜか自信満々

 いくら教育的な指導をしても、こちらの言うことがなかなか染み込まない人物というのがいるものである。それに輪をかけて周囲を困らせるのが、仕事ができずに周囲に迷惑をかけているのに、本人は仕事ができるつもりでいる、いわゆる勘違い人間である。そのような新人に手を焼いている管理職は、つぎのように胸の内を吐露する。

「これまでいろんな新人を育ててきたんですけど、今回みたいなタイプは初めてで、どう扱ったらいいか、困り果ててます」

『初めてのタイプとのことですが、どんな感じなんですか?』

「何ていうか、こっちの言うことが染み込んでいかないっていうか……たとえば、働きぶりを見ていて、仕事の段取りがわかってないなと思って、それを教えると、『そうですよね』『はい、わかってます』っていう感じで、軽く受け流すんですよ。まるで改めて言われなくてもわかっている、そうやっている、とでも言いたげに。でも、そうやってないから改めて教えたわけで……」

『ちゃんとできてたら、改めて教える必要もないですからね』

「そうですよ。そのようなとき、これまでの新人は、『あっ、そうなんですね。わかりました』とか、『そうでしたね。うっかりしてました。すみません』というような反応で、こっちのアドバイスを吸収してくれてる感じがあったんです。でも今回の新人は、吸収してくれてる感じがまったくないんです。暖簾に腕押し、って言うんですかね。で、案の定、間違ったやり方をまた繰り返すんです」

『いくら教えても吸収してくれないで、同じ間違いを繰り返す』