「三不」政策を巡り
中韓で異なる主張
尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が大統領となり、最初に取り組む問題が、外交の健全化だろう。これまで文在寅(ムン・ジェイン)大統領の下で韓国は、中国・北朝鮮にすり寄り、ご機嫌伺いに勢力を注いできた。
その端的な例が、在韓米軍がTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)を配備することに対する中国の反発を受け、文在寅大統領が訪中2カ月前に「THAADを追加配備しない」「米国のミサイル防衛システム(MD)に参加しない」「日米韓軍事同盟はしない」といわゆる「三不」政策を表明したことである。これは、韓国の安保に関する主権を制限しかねない内容である。
しかし、文在寅大統領にとっては、中国の機嫌を損なわないことが最優先であった。とはいえ、THAAD問題を中国側と交渉した文政権の複数の当事者は「三不」について、「政府の考えを説明した」ものにすぎず、「約束」ではないと強調してきた。文政権としても約束とするには躊躇(ちゅうちょ)があったのだろう。
ところが、中国国営の環球時報によれば、「三不は韓中相互尊重の結果」として、中国側では約束と受け止めているようである。