日本のビジネスパーソンは何かと忙しい。そこで本稿では、新たな視点で物事を見るためのリベラルアーツについて、「手軽にできて費用対効果が高い具体的方法」を提示する。それはずばり、ミュージアムの訪問だ。(著述家 山中俊之)
ミュージアム訪問が
リベラルアーツ醸成の王道
リベラルアーツの重要性を実感している筆者は、年間100回以上ミュージアム(美術館や博物館、展覧会やイベントなど)を訪問している。ミュージアム訪問はリベラルアーツの王道だ。
書籍から学ぶことは極めて重要であるが、「現地・現物」に触れることはできない。一方で、気になるモノ・コトの現地に行くのは時間もコストもかかるし、そもそも不可能な場合も多い。
その点、ミュージアムなら容易に「現物」を目にすることができる。しかも、国内なら2000円前後で、なかには数百円や無料の場合もある。コストパフォーマンスは抜群だ。
さらには植物園や動物園、水族館など広い意味でのミュージアムも訪問するといい。それらは決して、子どものためだけの施設でなく、大人にも学びが多い。
人類が直面する課題解決のために
人類以外からヒントを得るべき
現在の人類社会の諸問題――戦争や感染症、人種差別や貧困――が解決に至らない理由の一つに、人間のみに関心が行き過ぎて、視野が狭くなっているのではないか、と筆者は考えている。
政治学も経済学も、人間の活動について論じる研究領域である。脱炭素をはじめ地球環境問題は自然を対象にしているが、あくまで人間にとっての地球環境に主眼を置いている。
人間はもっと、自然の営みを謙虚に学び、人類社会に取り入れていくべきだ。そうした観点からまず、足を運ぶべきなのは、地球やその歴史について学ぶミュージアムだ。巨視的な地球史を体感することで、いかに自分の視野が狭いかを実感できるだろう。
なかでも筆者のおすすめは、千葉県にある「チバニアン」だ。