米国で賃金が上昇している。ただ、今年に入って加速するインフレには追いついていない。このため、賃金が大幅に増えても、値上がりするガソリンや食料品、家賃の支払いに苦労する労働者は減らないかもしれない。雇用主が賃上げを相殺するために値上げに動けば、インフレを悪化させることになる。ただ、こうした物価上昇圧力には緩和の兆しがあるとエコノミストらは指摘する。労働省が6日発表した雇用統計によると、労働市場の逼迫(ひっぱく)を反映して4月の民間部門の平均時給は前年同月比5.5%増となった。伸びは5.6%増だった3月から若干鈍化した。これは3月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比8.5%の伸びを大きく下回る。グラント・ソーントンのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は、賃金上昇についてインフレに追いついていないとし、「労働者はインフレという動く標的を追いかけ、生活水準が低下する」と述べた。