かつて米国の高インフレは弱いドルを意味した。今回は今のところそうではなく、ウォール街ではドル高の継続に賭ける向きが多い。ドルは米国の貿易相手国の通貨に対して数十年ぶりの高値圏にある。国内のインフレ率が約40年ぶりの高さにあるというのにだ。通貨バスケットに対するドルの価値を示すドル指数は、2002年以来の高水準に達している。ドル高を受け、ユーロやポンド、円が大きく下げた。これはインフレがまん延した1970年代の展開とは異なる。米セントルイス地区連銀のデータによると、当時、欧州通貨で最も影響力のあった西ドイツマルクに対し、ドルは1974年1月~80年の間に40%近く急落した。米連邦準備制度理事会(FRB)のポール・ボルカー議長は79年、急激な利上げに着手し、その後の力強い景気回復を後押しした。
インフレ下でもドルが強い理由
足元のドル高は世界的な景気の弱さが原因とみられている
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