米アップルは新型コロナウイルス流行以前、毎月数百人に上る技術者を米国から中国に派遣していた。アップル製品の受託生産を手がけるサプライヤーを監督するためだ。だが、中国がコロナ封じ込め対策で厳格な入国管理を敷いていることで、米国のアップル技術者の大半はこの2年間、中国から締め出されてきた。その結果、アップルは現地の技術者への依存度を高めている。アップルはスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」のモデルを毎年更新しており、2020年には発売に遅れが生じた。ただ、それ以降は現地化を進めてきたことが奏功し、毎年の生産サイクルをほぼ維持できているという。生産サイクルを維持する上で、中国のアップル技術者は次第に大きな権限を与えられるようになってきた。これは、中国の労働者の間で技術的な専門知識の深化が進んでいる背景にもなっている。