観光地にゴミをポイ捨てする日本人、伝統的倫理観「旅の恥はかき捨て」の末路写真はイメージです Photo:PIXTA

全国各地の観光地に散乱するゴミ、
日本人の伝統的価値観のせい?

 3年ぶりの「行動制限なし」の大型連休に浮かれるあまり、「モラルの制限」までなくなった人が続出している。全国の観光地で「ポイ捨て」どころではない、ゴミの不法投棄被害が問題になっているのだ。

 例えば、日本テレビが5月9日、神奈川県の海岸で清掃活動を同行取材したところ、バーベキュー食材などのゴミが山積みになっているのは毎度のこととして、なんと「バーベキューコンロ」までが放置されていたのだ。アウトドアブームもあって、ホームセンターやネットで手頃なものは2000円程度で購入できるので、「使い捨て」にしているのだ。このようなコンロの不法投棄は、コロナ禍で飲食店が休業してバーベキュー人気が高まった時期から、全国各地の河原やビーチで急速に増えているという。

 また、同様の問題はキャンプ場でも多発している。和歌山県九度山町で、キャンプ場を経営する男性は、3組の家族連れが使用したという区画にゴミが散乱している写真と共に、こんな怒りのツイートをして話題になった。

「二度と来るな。ゴミ箱まで用意してるのにこれはひどい。番号も名前もアカウントも全部晒したいわ」

 あまりにもひどい「観光公害」の実態を耳にすると、怒りでハラワタが煮えくり返るという人も多いのではないか。日本人といえば、サッカーワールドカップの試合後にゴミ掃除をして世界から称賛されるなど、自他共に認める「マナーのいい国民」という認識が広まっている。にもかかわらず、この体たらく。もし現場を目撃したら徹底的に糾弾して、性根を叩き直してやりたいと感じる人もいらっしゃるだろう。

 ただ、厳しいことを言わせていただくと、仮に自警団のようなものを結成して、ゴミのポイ捨てをする観光客を捕まえて血祭りにあげたところで、この問題が解決することはないだろう。

 観光地にゴミをポイ捨てしてサクッとその場を立ち去る、という「旅の恥はかき捨て」的な振る舞いは、日本人の伝統的倫理観のひとつだからだ。