オンキヨーが自己破産「費用の削減にも限界があり、資金繰りが困窮」Photo:Alamy/AFLO

オーディオ機器の名門、オンキヨーホームエンターテイメントが5月13日に大阪地方裁判所に破産手続き開始を申請し、同日付で破産手続き開始決定を受けた。負債総額は約31億円。ダイヤモンド編集部が作成した「倒産危険度ランキング2021」で、同社はワースト29位にランクインしていた。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

オンキヨーが自己破産
負債総額は31億円

 オーディオ機器の名門がついに破産――。

 5月13日、オーディオ機器の名門、オンキヨーホームエンターテイメントが大阪地方裁判所に破産手続き開始を申請し、同日付で破産手続き開始決定を受けた。同社がホームページ上に公表した資料によれば、負債総額は約31億円。

 オンキヨーは1946年に大阪電気音響社の社名で創業。ミニコンポやスピーカーなどの音質が評価され、熱心なファンを生み出す憧れのブランドへと成長していった。

 ところがオーディオ市場の縮小とともに経営が悪化し、2014年3月期から経常赤字続きに。21年3月期には2期連続となる約24億円の債務超過に転落し、東京証券取引所の上場廃止基準に抵触したことで同年8月に上場廃止が決まった。

 ダイヤモンド編集部が、経営リスクの高い企業を見分ける公開情報から算出した「倒産危険度(Zスコア)」に基づき作成した『倒産危険度ランキング2021』(https://diamond.jp/articles/-/278488)で、オンキヨーは上場企業3787社中のワースト29位にランクインしていた。

 21年6月、オンキヨーは主力のホームAV事業を米オーディオ大手VOXXとシャープの合弁会社に約33億円で売却すると発表したものの、手続きが遅延して売却完了が3カ月遅れの同年9月に。「売却完了が延びたため、その期間の固定費のコストが吸収できず、20億円を超える債務が事業譲渡代金で完済できない事態」(同社)になってしまった。

 その後も子会社や関連事業の売却を続け、資金繰りに奔走。しかし、「費用の削減にも限界があり資金繰りが困窮したことから、これ以上の事業継続は困難と判断」(林亨社長)し、破産手続きに踏み切った。