新型コロナウイルスの感染拡大で多くの企業が打撃を受け、倒産事情も激変した。そこでダイヤモンド編集部は上場企業3787社の「倒産危険度(Zスコア)」を総点検。リスクの高い493社をあぶり出した。特集『廃業急増!倒産危険度ランキング2021』(全23回)の#1では、倒産危険度ランキングのワースト100を紹介する。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
上場廃止オンキヨーは29位
493社が倒産“危険水域”
「上場廃止のお詫びと今後につきまして」――。
8月2日、オーディオ機器の名門、オンキヨーホームエンターテイメントのホームページにこんなリリースが掲載された。
オンキヨーは1946年に大阪電気音響社の社名で創業。ミニコンポやスピーカーなどの音質が評価され、熱心なファンを生み出す憧れのブランドへと成長していった。ところがオーディオ市場の縮小とともに経営が悪化。2014年3月期から経常赤字が続き、20年3月期に約34億円の債務超過に陥ってしまった。
債務超過解消に向けてオンキヨーは増資の連発など資金調達に奔走し、リストラも断行。それでも新型コロナウイルス感染拡大の影響などもあって21年3月期は約43億円の経常赤字と本業の不振を脱せられず、2期連続となる約24億円の債務超過に。東京証券取引所の上場廃止基準に抵触し、8月1日付で上場廃止が決まった。
コロナ禍でオンキヨーなど多くの企業が打撃を受けた。経営リスクの高い企業を見分ける手引きとなるのが、公開情報から算出した「倒産危険度(Zスコア)」だ。
米国の経済学者、エドワード・アルトマン氏が68年に考案したもので、短期的な資金繰りの圧迫度や負債の負担度合い、売り上げや利益を生み出す効率性など、五つの指標の合計値により算出される。
合計値が低いほど倒産リスクが高まり、1.81未満になると「危険水域」だ。1.81~2.99も倒産の懸念を否定できない。逆に2.99を上回れば、倒産の可能性はほとんどないといえる。
ダイヤモンド編集部が上場企業3787社の倒産危険度を総点検したところ、493社が危険水域と判定された。オンキヨーはランキングワースト29位だった。
オンキヨーは5月26日、主力のホームAV事業を米オーディオ大手VOXXとシャープの合弁会社に約33億円で売却する契約を締結したと発表。ただし、当初7月1日としていた事業譲渡日を、「必要な条件の一部が満たされていない」などとして2度にわたって延期し、8月中としている。オンキヨーに取材を申し込んだところ、「事業譲渡が完了していないので取材には応じられない」と返答があった。
ワースト上位企業にはコロナ禍で打撃を受けた企業がずらりと並ぶ。オンキヨーよりも“危ない”企業はどこか。ワースト100社のランキングを公開しよう。