今のところ供給不足に陥っていない物事の一つは、オンライン旅行業界の商品発表だ。この2週間には民泊仲介サイト最大手の米エアビーアンドビー(Airbnb)と配車サービス大手の米ウーバー・テクノロジーズがいずれも、自社プラットフォームの多方面にわたる大規模なアップデートを発表した。表向きの目的は、消費者へのサービス向上と、旅行のペントアップ(繰り越し)需要が急増する中でプラットフォームの利便性を高めることにある。これらの変更は、旅行者の精神面と同じくらい両社の利益面でも重要なことだ。旅行ガイドサイト「ザ・バケイショナー」が5月に発表した調査では、米国人の80%超が今夏に旅行を計画していることが分かった。回数は2回以上との回答は45%に上った。米オンライン旅行大手エクスペディアのピーター・カーン最高経営責任者(CEO)は最近、かつてないほど盛況な旅行シーズンになるとの見通しを示した。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、米国の今年の国内旅行・観光支出が1兆1000億ドル(約142兆円)を超え、新型コロナウイルス禍前の水準を11%余り上回ると予想している。米国外からの旅行者による支出は1550億ドル近くに達する可能性がある。