そんな中、5月11日からスタートしたのが、俳優の鈴木亮平さんをキャラクターに起用した新キャンペーン「いざいざ奈良」だ。それまでの「うまし うるわし 奈良」は神社仏閣にスポットを当てていたが、リニューアル後は歴史文化も踏まえながら、それだけではない奈良の魅力を訴求し、奈良へと「誘う」ものである。

 奈良を訪れた経験がある読者は多いだろうが、最後に行ったときのことを覚えているだろうか。筆者は2016年に大阪から京都に向かう近鉄特急で通過したのを除けば、三重、奈良、大阪、京都を回った高校時代の修学旅行までさかのぼる。中学校の修学旅行も京都と奈良だったような気がして、久方ぶりに卒業アルバムを開いてみると、やはり奈良公園の鹿が写っていた。

 筆者は埼玉在住なので関西に行く頻度自体、多いという訳ではないが、大阪や京都は仕事でもプライベートでも何度も訪れたことがある。だが、奈良だけがすっかり抜け落ちていたのである。

 公益財団法人日本修学旅行協会が、全国の国公立・市立中学校から無作為に抽出して行った調査「2019年度実施の国内修学旅行の実態とまとめ(中学校)」によると、都道府県別の行先(滞在時間を問わない延べ訪問先)は、トップが京都の22.7%、次点が奈良の19.8%だった。これは関西の学校も含む数字なので、関東甲信越出身者に限れば京都と奈良をセットで訪れたという人はかなりの数に上るはずだ。