銀行の自己資本比率規制「バーゼル3」、オペレーショナルリスクを解説Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

新たな計測手法は
過去の損失実績を反映

 連載の第7回は、2022年4月に公表された規則(確定版)に基づき、オペレーショナルリスクの見直しについて解説する。

 オペレーショナルリスクは、役職員の事務的なミスやシステム障害などによる損失リスクを指し、オペレーショナルリスク相当額を12.5倍した額が自己資本比率の分母に算入される。現行制度では、オペレーショナルリスク相当額の算出手法として、粗利益の15%とする「基礎的手法」、八つの業務区分ごとの粗利益に所定の掛け目をかけて算出する「粗利益配分手法」、内部モデルによって算出する「先進的計測手法」の三つの手法が認められている。

 見直し後は、従来の算出方法は廃止され、新たな標準的計測手法のみとなる。新たな標準的計測手法では、銀行の各種取引の規模を表す「事業規模要素」に「内部損失乗数」をかけてオペレーショナルリスク相当額を算出する。内部損失乗数は、原則として過去のオペレーショナルリスク損失を反映するため、過去の損失が大きいほどオペレーショナルリスク相当額が大きくなる。