北欧のスウェーデンは2世紀にわたり軍事同盟に背を向けてきた。先週、北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請を決めたことで、同国の安全保障に対する姿勢は根本的に転換した。同時に長年のあいだスウェーデンの国家アイデンティティーの柱だった「中立」の考え方も問われている。多くのスウェーデン人は次のようなジレンマを抱えている。NATOという軍事同盟の一員になっても、平和と核軍縮の世界的な取り組みをリードできるのだろうか。NATOの力は主に核兵器に依存しているというのに。先週、スウェーデンは隣国フィンランドとともにNATOへの加盟を正式に申請した。この地域の脅威への認識を一変させたロシアによるウクライナ侵攻が、両国の決断を促す格好となった。両国ともに世論は常にNATO加盟に反対してきたが、一気に加盟を支持する流れに変わった。
スウェーデンが問う NATO加盟と平和の両立
平和構築の範を示してきた国、軍事同盟への加盟申請で生じるジレンマ
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