多国籍企業に最低15%の税率
運用次第で“新たな租税競争”
タックスヘイブンを利用した巨大多国籍企業の租税回避や、それに対抗する法人税率引き下げ競争を是正する狙いで、137カ国が昨年10月、合意した「15%グローバルミニマム税」導入が、19~20日のボンでのG7財務相・中央銀行総裁会議で再確認された。
各国は今年中に国内法を整備し、2023年に課税実施の予定だ。
グローバルミニマム税が導入されれば、国別に見た個別の多国籍企業の税負担率が15%に満たない場合は、その分を各国が追加課税できることになる。
筆者の試算では、巨大多国籍企業の親会社が多く所在する米国をはじめ、ベルギーやシンガポールなどが他国に流出していた課税ベースを取りもどすことになり、日本も約20億ドル(2250億円)の追加税収が見込まれる。
一方で、タックスヘイブン国も多国籍企業のその国での税負担率が15%になるまでは「国内ミニマム税」を優先的に追加課税できるので、新たな国際合意が国際課税のゆがみをどこまで是正できるかは不確実だ。
運用次第では、新たな租税競争を生む危険もはらむ。