4月初めの日曜日、モスクワ郊外のロシア軍大聖堂内にロシア正教会の最高指導者が立ち、ウラジーミル・プーチン大統領の戦争を支持する講話を行った。ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)郊外の町ブチャでウクライナ市民を大量虐殺したとの報道を受け、西側の指導者らが非難したのと同じ日だった。「ファシズムを打ち破ったのはわれわれだ。もしロシアがいなければ、世界を征服していただろう」。モスクワ総主教キリル1世(75)は、第2次世界大戦でナチスの侵攻にロシアが勝利したことを記念する壮大な建物の中でこう語った。その脇で軍服を着た多くのロシア兵が聴き入っていた。「神は今回もわれわれを助けてくださるだろう」2月24日のロシアによるウクライナへの軍事侵攻以来、プーチン氏の盟友であるキリル総主教は、同氏の背後にロシア正教会の道徳的権威があることを示してきた。正教徒が国民の63%を占めるこの国で、それはプーチン氏の決定的な支えとなっている。