レビュー
「働くのがつらい」「人間関係がつらい」「自信が持てない」「仕事が終わらない」、総じて「もう頑張れない」……。もし今、そうした悩みを抱えているなら、きっと本書『1万人超を救ったメンタル産業医の職場の「しんどい」がスーッと消え去る大全』が有効な手立てを示してくれるにちがいない。産業医で精神科医の著者が、患者や相談者ら1万人を超す人々と向き合う中で見いだした、心が軽くなるちょっとした工夫が満載の一冊だ。
冒頭の「働くのがつらい」「自信が持てない」といった悩みごとに章が設けられ、てき面な解決策を提示してくれる。「ダ行を封印して自己肯定感アップ」、「イライラするなら10数えよう」など、いずれのテクニックも簡単で実践的である上に、精神科医としての知見に裏打ちされている。
心理学で推奨される「自分」と「他人」を分割して考えることや、成功すると思って行動すると成功しやすいという「自己成就予言」など、各手法が有効であることの根拠が併せて示され、説得力がある。何より、「100点ではなく60点で合格、そこまで頑張った自分をほめてあげよう」といったいたわりが、全体を通じて感じられる優しい本だ。
「体は心の疲れに正直だ」と著者はいい、「疲れ」「痛み」「炎症・微熱」といった、「精神的な負荷がかかりすぎた時に体に現れる3大SOS」の症状を無視しないでほしいと強く訴える。忙しい仕事や日々のさまざまなタスクは一度脇に置き、今の自分を見つめ直していただきたい。あなたの体はSOSを発していないだろうか。