サウジアラビアはこれまで、原油が高騰する度に手にした多額の石油収入を大規模なインフラ開発や市民への現金支給に充ててきた。ところが、今回は手元に現金を貯め込んでいる。サウジの財政黒字は年初来で150億ドル(約1兆9500億円)に上っており、年末までには約800億ドルに膨らむと予想されている。原油価格がバレル当たり100ドルを着実に上回って推移しているほか、サウジ経済がここ10年で最も高い成長を遂げているためだ。にもかかわらず、世界最大の原油輸出国であるサウジは歳出を増やすことはしない方針だ。原油相場の高騰と暴落のサイクルから抜け出し、石油に大きく依存する経済をより一般的な構造へと移行させるため、資金を確保しておく狙いがある。