円安「135円前後」まで進む可能性、企業の7割・就業者の6割はマイナス影響7日の東京外国為替市場は、前日のニューヨーク市場の流れを受けて、一時、1ドル=132円台後半まで値下がりした Photo:JIJI

約20年ぶり、1ドル133円台
年前半は135円を試す展開も

  ドル円相場の円安加速はこのところ一服感があったが、7日の東京外国為替市場は、前日のニューヨーク市場の流れを受けて、一時、1ドル=133円台まで値下がり。2002年4月以来、約20年2カ月ぶりの円安水準更新となった。

 米製造業の景況感を示す指数が市場の予想を上回る改善をみせるなど、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが続くとの見方が改めて強まり、米国の長期金利が3%代まで上昇したことが背景だ。

 石油輸出国機構(OPEC)プラスが2日、7月、8月の原油増産で合意したもののロシア産原油の代替には力不足であり、原油先物価格(米国産WTI原油)が約2カ月半ぶりに1バレル=120ドル台に迫る高値を付けるなど、日米の金利差拡大やウクライナ危機による資源価格高騰などの構図は変わらない状況だ。

 当面、相場反転の材料はなく今年前半は1ドル135円前後まで円安が進む可能性がある。

 日本銀行は「円安は日本経済全体ではプラス」との見方を変えていないが、円安のメリットは一部のグローバル企業に集中しており、筆者の試算では、企業の7割、就業者の6割がマイナスの影響を受ける。

 年央以降は米国の物価上昇が山を越えるなどで、円ドル相場は120円台後半での推移が見込まれるが、ウクライナ戦争や対ロ制裁の長期化が懸念され、相場が安定に向かうかは予断を許さない状況が続く。